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三日後、予測通りに制服が届いたとの連絡があった。一日の仕事を済ませたなぎさは自室でくつろいでいたので、千穂からの連絡ですぐに千穂の部屋へと向かう。
「失礼します、千穂様。なぎさです」
なぎさはドアをノックして言う。すると、すぐに千穂から入室許可の返事があったので、なぎさはおそるおそる中へと入る。
部屋に入ってまず目に飛び込んできたのは、女子高の制服に身を包んだ千穂の姿だった。濃紺のワンピースに白のセーラー襟、胸元にはレモン色のスカーフ、シンプルのようでどことなく魅力的に感じる。
ぼーっとしているなぎさに、
「今日の試着はもう一名いらっしゃいますので、しばらく待ちましょう」
と、千穂は声をかける。「はて、もう一人とは?」と首をかしげるなぎさだったが、しばらくしてドアをノックする音が響いた。続けて、
「失礼します、深川美々です」
元気でかわいい声が響く。千穂が「どうぞ、お入り下さい」と言うと、ドアが開き美々が中に入ってくる。と思った次の瞬間、
ビターン!!
けたたましい音とともに、派手に美々が顔面ダイブを決める。なぎさも千穂も、転んで顔面から倒れるのは初めて見たために激しく驚いて固まる。千穂が恐る恐る近づくと、ドアの外から声がする。
「相変わらずドジだな、美々は」
声の方を向くと、おでこを出した金髪のメイドが立っていた。なぎさたちがそのメイドの姿を確認したのと同時に、転んでいた美々が立ち上がり、
「千歳ちゃーん!」
と叫びながら飛びつく。が、抱きつくより早く千歳と呼ばれたメイドが美々の顔面と腕をつかむ。……見事なアイアンクローだ。
「千穂様、申し訳ありません。あたしは南千歳と申します。こいつの教育係をやってますので、あとで重々言い聞かせておきます」
落ち着いて対応する千歳の手の中で、つかまれた部分が痛いのか、美々は激しく暴れていた。
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