きみと嘘とぼく

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「望月くん、おはよう」  望月くんというのは俺、望月誠都(もちづき まこと)のことである。そして笑顔と共に挨拶をしてくれたのが、隣の席の双葉瑠莉(ふたば るり)、俺の好きな人だ。黒髪セミロングで清楚で、いつも明るく、みんなに好かれている女の子。そんな双葉さんが交通事故で入院した。  約3ヵ月後、双葉さんが退院し、学校へ登校してきたが、どこか雰囲気が違った。髪も伸びていて、前までの笑顔は無く、まるで別人のようだった。 「双葉さん、久しぶり」 「誰だ、君は?」  誰だと言われて何も言えなくなった俺はただ立ちすくしていると、朝礼に時間になり、担任が教室へ入ってくる。そして双葉さんが交通事故の影響で事故以前の記憶をほとんど無くしていると説明された。 「双葉さん、俺は隣の席の望月誠都。何も知らないでごめん。記憶喪失って聞いたけど、体は大丈夫なの?」 「なぜ君にボクの体の状態を教える必要がある? まあ良い、大丈夫だからこうして学校に来ているわけだが君は馬鹿なのか?」  双葉さんは俺を睨みながら罵倒した。どうやら記憶喪失というのは本当のようだ。俺の知っている双葉さんはもういないようだ。
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