第一話 サイコパスと殺気に満ちた弟たち

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第一話 サイコパスと殺気に満ちた弟たち

 君は悪魔のことをどう思う?  人類語でノートに書いた素朴な疑問。その疑問は子供の好奇心に似ている。  ただ気になるから。自分に都合の悪い答えが返って来ようとも関係ない、純粋な疑問。  ペンにインクを付けて、その文字の下に書き込む。  悪魔のことは良く思わないかな 『いや、嘘だね』  たった一言、手を握られ、俺の思考を止めた。  知っているナニカのはずなのに、知らない。  その声に聞き覚えがあるはずなのに、知らない。  忘れちゃいけないものを忘れたような……。そう例えるなら。  起きたときに夢を見ていたような、けど内容を思い出せれない、あの感じに似てる。  楽しかったような、悲しかったような、そんな曖昧(あいまい)記憶(ゆめ)…………  そこで俺はぷつんと切れた。それはまるで寝落ちしたときのような感覚に似て  ここは脳内。多重人格者だけが見れる世界。  白に染まっているドームの中。その中なら思えば、何でも出てくる世界。  そこに住む三人の人格。  外からの干渉はできず、見ることさえできない閉じられた世界。  彼らはそこで『兄弟』として住んでいる。その日常の話である――
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