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俺はどこか一定のギルドに所属していない放浪冒険者だ。
今回はこの近くにある街で帰らずの森にいる黒狼の討伐依頼を受けた。
黒狼は、6〜8頭の群れで行動しているらしい。
黒狼は魔物の一種でだ。
ちなみに魔物にはランクがあって、基本的にSSS~Fランクまである。
その中で、黒狼はAランクに該当する。
「ガァ゛―‼」
突然、森の奥のほうから黒狼のものだろう鳴き声が聞こえた。
「!!…」
俺は急いで声のした方へ向かった。
そこで目にしたものは、黒狼と黒狼に襲われたと思われる人間の死体だった。
そこには二頭しかいなかったため手早く首を落としてかたずけた。
黒狼二頭を討伐すると、死んでしまった人間に手を合わせた。
?「早く来れなくてすまなかった。」
恰好から見るに、この森の近くにある村の村人であろう。それにしても不思議だ。
森の近くならまだしも、こんな無力な村人がなぜ危険な帰らずの森の中心部にいたのだろうか。
?「まぁ、そんなことを今考えても仕方ないか。」
とりあえず、俺は依頼の黒狼の討伐に戻る。
歩いている途中に黒狼四頭と先ほどと同じであろう村人を発見した。
先ほど同様に黒狼を討伐し、村人三人に手を合わせた。
?「報告によると後二頭いるはずだ。」
残りの黒狼を探しに森の中を歩く。
?「見つけた…」
残りの黒狼を見つけた…のはいいのだがなぜこんな崖のところでウロウロしているのだろうか。
今日は謎めいたことが多い。
黒狼がこんなところでウロウロしていることは後で考えるとして、二頭を討伐した。
これで依頼は完了だ。
さぁ、なぜ黒狼はこんな崖の何もないところにいたのだろうか。
そう思いあたりを見まわしたが特に何もない。
崖の下を覗き込んだ。
?「⁈…だ、大丈夫か!!」
なんと崖の下には白髪を己の血で赤く染めてしまっている子供がいた。
きっとさっきの黒狼に追われて逃げているところで運悪く崖から落ちてしまったのだろう。
俺はすぐさま崖から滑り降り子供の様態を確認した。
頭からの出血が激しい。
口の近くに耳を近づける。
子供「…すぅ……」
弱弱しいが呼吸はできている。
まだ生きている。
薬草(ポーション)を飲ませようとしたがなかなかうまく飲めていない。
?「すまない。」
そこで俺は自分の口にポーションを含み子供の口にキスをした。
?「ふぅ、ん…」
俺は子供に所詮口移しというやつをした。
しっかりと飲み込めたようで喉元が動くのを確認できた。
子供にポーションを飲ませ、最低限の手当てをして、子供を背負い街まで連れていくことにした。
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