第1章    【僕】

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それから数年の月日がたった。 僕はルイと幸せな日々を送っていた。 花がきれいな日を過ごし、暖かい日を過ごし、真っ赤な日を過ごし、寒い日を過ごし、何度も何度もそれを繰り返した。 そんな日々の中で、文字や歴史、地理、魔法をルイに教えてもらい、時にはルイに連れられていろいろな街を見て回った。 そこでこの世界の現実を見た。 親に捨てられた子供、奴隷にされてしまった人、人間という種族ではないことを理由にした人種差別。 この世界の負の部分をたくさん見た。 ただただ悲しかった。 こんなにも酷いことがまるで当たり前の光景のようになってしまっている世界が…… そんな世界の現実を見ながら月日は立ち、当時5歳の僕は15際に、当時15歳のルイは25歳になっていた。 僕はルイのおかげでまた声が出るようになっていた。 僕が15歳の誕生日を過ぎて少し経った頃だった。 ルイ「なぁスノウ。」 「なぁに?ルイ。」 ルイ「そろそろ学校に行ってみないか?」 ルイが僕に学校に行ってみないかと提案してきた。 学校というものはルイが僕と同じ年のころに行っていたものだった。 その時に、学校というものについて教えてもらっていた。 学校とはルイと勉強してきた歴史や地理、魔法などに加えてもっと詳しいことも教えてもらえたり。同じ年頃の子たちと仲良くなれるところだと聞いた。 話を聞いていて正直言ってみたいと思っていた。 まだ怖い気持ちもあったけれど、ルイが楽しそうに学校について話すから。 「僕、学校に行っていいの?」 ルイ「いいに決まっている。スノウが行きたいなら行かせたかったからな。」 そう言ってルイは優しく微笑んだ。 「じゃあ、僕学校に行きたい!」 ルイ「ならさっそく入学の手続きをしてこよう。俺が行っていた学校なら知り合いが理事長をしているからそこに頼んでみよう。……ところでその学校は理事長が変わってから全寮制の学校になったんだが大丈夫か?」 ルイの行っていた学校に行けると聞いて嬉しくなった。 ただそこは全寮制の学校と聞いて少し迷ってしまったが、学校に行きたいという気持ちの方が勝った。 「うん!大丈夫なの!僕、学校に行きたい!!」 そう僕が言うとルイは優しく僕の頭をなでて了承の言葉をかけてくれた。 僕はとっても嬉しかった。 その後さっそく僕とルイでその学校ハマトリ魔法学校の入学手続きをしに向かった。
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