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Cace.7 わたしの場合
…わたしは、というと。
見ているだけでは物足りなくて、執事さんの進めるままにこっそりと車に乗って、執事さんをいざ回そう、と思ったら。
青色の子が、結婚相手を探していると聞こえてきて…
途中から、あの人の助手席に乗っていくことにした。
子どもは出来なかったし、お金持ちではなかったけれど、旦那様には銀行員があったし…ううん、それだけじゃない。
お金なんかより、大事な愛があったもの。幸せな『人生』を送れたんじゃないかな。
あぁ、楽しかったなぁ。
できればまた、次もあの人と結婚したいな…。
そして今度は、子供なんかも出来たら嬉しいな…なーんて。
幸せそうに頬を緩めている生まれたばかりの神子に、老執事が語り掛ける。
…あなた様はまだ生まれたばかり。これから幾らでも違う『人生』を楽しめますよ。
そう、なのかもしれない。
…でもわたし、あの人がいいみたい。
あの人も、そう思ってくれていたら、いいのになぁ…。
少女はほんのりと頬を染めて、先に箱に帰っていった青色を想った。
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