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食人鬼? なんだそりゃ。物騒な話だけれど何かの比喩? 連続殺人鬼とか? それなら逃げなきゃ殺されちゃう。それも何かの設定なのかもしれないけれど。
とにかくこの何処か分からない建物を出ないと。外に出ればここが何処なのかも分かるはず。それに普通の人も居る筈。あんな着ぐるみじゃなくて。本人は断固として設定を守っていたけど。うーん、その設定は譲れないものなのかしらね。喋るウサギなんている訳ないじゃない。
私は急いでベッドから抜け出し、木で出来た扉へと向かった。扉は少し低い。屈まないと通れない。そして通った先に見たものに私は言葉を失った。
螺旋状に続く石の階段は終わりが見えなくて、それにこれまた天井も低い。これも屈んで降りないと頭を打つ。腰痛めそう……。
扉の先はその階段しかない。先に出て行った白ウサギは姿も見えなければ足音も聞こえない。どうなってるの? 足速すぎじゃない? 私は溜め息を吐いて壁に手を付き一段づつその階段を降り始めた。コツコツと通学用のローファーの足音が響いた。
「ていうかこんな所私の家な訳ないじゃない!!」
遅れて来た訂正を誰に言うでもなく一人叫ぶと、その声は石造りの階段によく響いた。
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