【1】目覚めの眠り姫

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2.  切れる息を必死に整えようとして少し冷たい空気を肺に送り込んでいた。目の前には道が二本。木で出来た手作り感溢れる看板、そして乱雑に殴り書きされた子どもの落書きのような字がそれぞれの道の先を指していた。  片方の看板には、陰鬱な森、もう片方の看板には、林檎狂いの国、と書かれている。林檎狂いって何だ……? 私は林檎狂いの国と書かれた看板に背を預け座り込んだ。走りっぱなしで疲れたのだ。空を見上げながらどっちに行くか考えていた。
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