第11話 夏祭り

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第11話 夏祭り

 友達のユウタが待つ一本杉へと向かった僕とサツキは、八代(やしろ)神社の階段を登っていたのだが、その途中でサツキの草履(ぞうり)鼻緒(はなお)がまた切れてしまった。  そしてサツキは階段の途中で、しゃがみ込んでしまったのだ。それを見た僕はサツキにこう言った。 「サツキ、大丈夫か…。その草履(ぞうり)、ちょっと見せてくれる?」  こう僕がサツキに言葉を掛けると、サツキはとても悲しそうな表情をして、僕にこう答えたのだ。 「ハヤトくん、ごめん。せっかくハヤトくんが(なお)してくれたのに…」  サツキがこう言うと、僕はサツキにこんな言葉を掛けた。 「俺の方こそ、ごめん。ちゃんと(なお)せなくて…」  僕は申し訳なく、サツキにこう言ったのだ。そして僕は草履(ぞうり)鼻緒(はなお)が切れた部分を見て、サツキにこう言った。 「サツキ… この草履(ぞうり)鼻緒(はなお)、簡単には(なお)せないよ」  こう僕がサツキに言うと、サツキは今にも泣き出しそうな表情を浮かべたのだ。僕は何とかしなければと思い、咄嗟(とっさ)にこんな言葉をサツキに掛けた。 「サツキ… 階段の上まで、俺が背負って行くよ」  この言葉を聴いたサツキは、少し(うれ)しそうな表情を見せ(うなず)いたのだ。こうして僕とサツキの二人は、ユウタの待つ八代(やしろ)神社の一本杉へと向かったのであった。 つづく…
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