第14話 夏祭り

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第14話 夏祭り

 八代(やしろ)神社の境内(けいだい)から花火大会の花火を観る事になった僕とサツキであるが、二人は幼い頃、一緒に花火をした時の事を思い起こし、こんな会話を()わした。 「ハヤトくん 昔、一緒に花火した事、覚えてる?」  こうサツキが僕に言って来たので、僕はサツキにこう答えたのだ。 「サツキ、覚えてるよ。一緒に線香花火(せんこうはなび)、競争したよなぁ…」  僕は笑顔でこうサツキに向かって言った。その時、サツキも(うれ)しそうに僕にこう話し掛けたのだ。 「ハヤトくん、いっつもムキになって 負けたらもう一回、勝負だって言ってたよねぇ」  このサツキの言った勝負とは、線香花火(せんこうはなび)の火の玉がどちらが長く最後まで落ちずにいるか、と言う事を言っていたのであった。  そんな話を二人で(しばら)くしていると、二人の目の前に天高く大きな花火大会の花火が上がった。これを観てサツキは僕にこう言葉を掛けた。 「ハヤトくん。ハヤトくんとふたりで、花火が観られて良かった…」  このサツキの言葉を聴いた僕も、今観ている花火と幼い頃、サツキと一緒に線香花火(せんこうはなび)をした時の事を重ね、サツキの事をとても(いと)おしく感じたのだ。  しかし僕はサツキに自分のこの気持ちを(さと)られまいと、自分の心の中にこの感情を押し込めたのであった。 つづく…
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