第2話 夏祭り

1/1
前へ
/16ページ
次へ

第2話 夏祭り

 友達と約束した花火大会に向かう途中、僕は幼馴染(おさななじみ)の女の子と遭遇(そうぐう)した。そして彼女から声を掛けられたのだ。彼女の名前はサツキ、小学生時代からの幼馴染(おさななじみ)だ。サツキは花火大会の今日、浴衣姿に草履(ぞうり)()いて来ていたのだが、草履(ぞうり)鼻緒(はなお)が切れ、僕に助けを求めて来た。  彼女の視線を感じた僕は頭の中が真っ白になりながらも、彼女の方へと人混みを()き分け近づいて行ったのだ。するとサツキから、こんな言葉を掛けられた。 「ハヤトくん 久しぶり、わたしの草履(ぞうり)鼻緒(はなお)が…」  そう言うとサツキは僕に、自分の()いていた片方の草履(ぞうり)を僕に手渡したのだ。僕は草履(ぞうり)の切れた部分を観て、サツキにこう言った。 「サツキ… 慣れない草履(ぞうり)()いて来るからだよ、しょーがない」  こう言って僕はポケットからハンカチを出し、鼻緒(はなお)の切れた部分を(なお)していた。その間、サツキの右手が僕の左肩に寄りかかり、僕の心臓の鼓動(こどう)はドキドキしていたのだ。そしてこの鼓動(こどう)をサツキに気づかれないか、僕は気が気ではなかった。 つづく…
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加