3人が本棚に入れています
本棚に追加
第3話 夏祭り
幼馴染のサツキから渡された草履を僕がドキドキしながら直していると、サツキからこんな言葉を掛けられた。
「ハヤトくん。ハヤトくん、わたしのこと学校で避けてるでしょ!」
こう言ってサツキは、僕の顔を覗き込んだ。僕はドキドキしながらも頭の中で、何と答えたら良いか言葉を探した。そしてサツキにこう言ったのだ。
「サツキ… サツキはクラスの人気者だからさぁ、話し掛けにくいんだよ」
そう僕が言うと、サツキは僕から草履を受け取り嬉しそうな顔をして、こう言った。
「ハヤトくん やっぱりハヤトくんって、手先が器用なんだ」
この時、僕は嬉しかった。それは幼い頃、一緒に遊んだ時の事をサツキが覚えてくれていると思ったからだ。僕は試しに、サツキにこう言った。
「サツキ… 何で知ってるんだよ!」
サツキに僕がこう言うと、サツキは嬉しそうに、こう答えたのだ。
「ハヤトくん 昔、一緒に折り紙したでしょ!」
この言葉を聴いて、僕は嬉しくなった。するとサツキは僕に向かって、こう言ったのだ。
「ハヤトくん 昔みたいに、一緒に金魚すくいしようよ?」
僕は友達との約束が気になったが、こう答えたのだった。
「サツキ… わかったよ、サツキには負けないからな!」
そう言うとサツキは、にっこり笑った。藍色の浴衣と髪を結い上げたサツキの姿はとてと新鮮で、見惚れてしまった。
つづく…
最初のコメントを投稿しよう!