第三話 始まりの情事

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 シャワールームから出て、棚の上にあったバスタオルで身体を拭いて、裸のまま先生の後ろ姿を追うようにベッドの前に立つ。 「正常位と後背位、どっちがいい?」  先生が鞄から何かを取り出している。本物を見たことが無いけれど、多分ゴムとローションだ。 「……わからない、です……」  初めてなら後背位が一番痛くない、とネットの情報には書いてあった。 「……でも、先生の顔見て……したいです」  先生はニヤッと笑みを浮かべると、僕をベッドに横になるように誘導する。足元に立って一糸纏わぬ姿の先生を見上げ、僕の心臓は今にもはち切れてしまいそうだ。 「で、セックスしたい風岡君は、どういう格好すればいいんだっけ?」  先生の言いたいことは、彼が手に持ったローションを見てすぐに理解した。だから、僕は自分の両脚を抱えるように持って、ゆっくりと股を開いた。 「ははっ、スケベだな」  散々夢に見てきた先生は、いつも優しく僕を導いてくれたけれど、実際はとても意地が悪い。  けれど、僕はどうやらマゾヒズムの気があるようで、酷く恥辱を覚えながらも、全身が火照る。 「積極的な方がやりやすくていいけど」  先生がローションの入った容器を僕の尻の割れ目に向けて傾ける。と、液体の冷たさに思わず身体がびくりと反応する。 「ちゃんと見てろよ。今から自分がされることを」  先生は自分の右手にローションを垂らし、指に塗り込むとベッドの下の方に膝を立てて座った。そして僕に見えるように中指を立て、僕の搾まりに指先を添え当てる。 「ん……」  滑りを良くした先生の指は、さっきシャワールームで触られていたせいもあるだろうけれど、すんなり根元まで入ってしまった。
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