第四話 関係の終わり

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「もういいだろ。恋人同士でもあるまいし……くだらねえ」  ――くだらない。それは正しく、僕と先生の関係のことを言い表していた。  と、先生は足元に転がっていた僕の服を拾い集めて、茫然としている僕に、投げつけるようにして放った。 「早く着替えろ」  先生は服に着替えながら、動かない僕を睨み付ける。その苛立った先生の様子に我に返ってベッドから降り、急いで服を着た。  僕が着替え終わったのを見て先生は精算を済ませると、そのまま真っ直ぐにドアに向かう。怒らせてしまったことを後悔しながら、その背を追い掛けた。 「お前、エレベーター乗るな」 「え……?」  先生は舌打ちをして、すぐに来たエレベーターに先生は独りで乗り込む。 「終わりってこと。分かれよ」  頭が真っ白になっている僕を置いて、エレベーターのドアが閉まる。  ――終わり。そう、言われた。  いつか来るかもしれないと思っていた。先生の気持ち一つで、この関係は簡単に壊れてしまうと分かっていた。  でも、好きだから、どうしようもなく好きだから。いつか観月先生の気持ちを変えられる日が来ると、盲目的に信じた。  視界が歪み、涙がぽろぽろと零れ落ちる。僕は先生にとって、過去の想い人よりも遠い存在だったのだ。 「えっと……大丈夫?」  僕の顔を覗き込む人と複数の人の気配に気付いて顔を上げる。エレベーターの前に立ち塞がっていた僕を困ったような、気遣うような表情で三人の男性が囲んでいた。 「相方に置いてかれちゃった?」  髪の長い小柄の男性が言う。僕は黙って俯いた。 「何それ、最悪じゃん! 俺なら絶対許さねえわ!」  僕と同じくらいの身長で体格のいい、茶色の短髪の男性がちょっと怒ったように言うと、細身の男性が「そうだ」と短髪の男性の肩を叩く。
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