トモダチだから

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「ちょっと!由奈!」 「なっ、何?」  二人が付き合い始めて二週間程たったその日、陽夏の突然の剣幕に驚いた。いつも開けっぴろげに笑っている陽夏が、その日は目をキツく吊り上げていた。 「春樹にノート貸したの?!」 「え。あ、うん。」 「何で?!何で貸すの?馬鹿じゃない?バレちゃうじゃん!」  何がバレるの?って思ってようやく思い至った。 「あ……手紙?」 「そう!」 「や、だって、三宅くんに、陽夏に借りたらって言ったんだけど。陽夏に無理って言われたから…って。」  尻すぼみに小さくなる私の声をかき消すように、陽夏が大声を上げた。 「そんなの、由奈も断ってくれたら済む話じゃん!」  そんな勝手な…。そう思ったけれど、陽夏に当たり前の理屈は通用しない。 「ひどい!トモダチだと思ってたのに!」  その捨て台詞を最後に陽夏は私と話さなくなった。明らかな無視。いつも一緒にいた陽夏が隣にいなくなって、私はクラスで独りぼっちになってしまった。  私だってトモダチだって思ってた。こんな状況になりたくなくて手紙を書いたのに、結局こうなった。トモダチってなんだろう?
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