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「わっ、ゴメン!驚かせちゃった。」
「咲良ちゃん…。」
振り返ったら、幼なじみの咲良ちゃんがいた。同じ学年だけどクラスが違ってしまい、顔を合わすのは久々だった。咲良ちゃんの笑顔に、ホッとしたのと同時に胸にこみ上げて来るものがあった。涙がにじんで咲良ちゃんの顔が歪んで見える。涙の膜の向こう側で咲良ちゃんが心配そうな顔になっていく。
「ねえ、アイスクリーム食べて帰らない?今日は特別に、この咲良さまがおごってあげましょう!」
咲良ちゃんは、何も聞かずに泣き顔の私を数秒間見つめた後に、急にそんな宣言をしてくれた。
「え……何、で?」
「だって、友だちだもん!」
何でもない事のように言う咲良ちゃんの“友だち”が胸に染み込む。陽夏の言った“トモダチ”と同じ言葉のはずなのに、どうしてこんなに違うんだろう?
「由奈ちゃんも、私が失恋した時、たい焼きで慰めてくれたことあったでしょ?」
「え…」
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