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#1 test
部活動に励む学生の敵、それは勉強。
そして、彼らにもその敵が襲い掛かってきたのだ。
これは「Melody・Holic」結成時、まだまだ、お互いに距離感があり、それが上手く掴めず、よそよそしい時期の話である。
「響木クン、もうすぐ、定期試験ですね。」
「あーもうそんな時期かよ。せっかく、部活が楽しくなってきたのによー。テストで部活できねぇとか、マジで最悪だわ。」
「先輩が引退してから、五月ぐらいで、五人でバンド、組み立て、ほやほやですからね。」
「だな。少しでも早く弾きてぇー!そんで、文化祭でどどんとお披露目だぜ!」
「その為には、赤点回避が必須です。赤点を取ると必然的に補習なので余計に活動が出来なくなりますから、響木クン、頑張りましょう。」
「マジかよー。補習とか、ぜってーやりたくねぇー。」
「だったら、勉強するしかないです。」
「俺の脳が拒絶反応、起こすんだよなぁー。」
「響木クン、コード進行は覚えられるのに何で暗記、出来ないんですか?」
「んなこと、言われてもよぉー。出来ねぇもんは出来ねぇんだよ。」
「…ドヤ顔で言う台詞じゃないです。」
響木は勉強全般が出来ない。
それに比べ、音沢は平均点、もしくはそれ以上の成績を叩き出す。
「こうなったら、詩葉に直談判だ!俺に勉強は無理だってな。」
「そんなの、ダメです。詩葉クンが怒るのが目に見えてます。」
「詩葉を怒らせたら、それはそれで厄介だな。あいつ、成績優秀者だし、部長だし、人脈とか凄そうだし…。」
結局、図書室に集まったのは、音沢と響木の他に、律川と奏出と、響木の幼馴染の鍵崎だった。
「真琴、何でお前まで居るんだよ。」
「音くんに誘われたんだもん。」
「はい、ボクが鍵崎サンを誘いました。」
「りっつと俺もつばさんに誘われたんだよー。ねーりっつ!」
「…俺は仕方なくだ。そもそも、響木が授業中に寝るからいけないんだ。せめて、起きる努力をし給え。」
「だってよー、先生の話、つまんねぇし、何か眠くなるんだよ。てか、奏出もどちらかと言えば、俺側の人間だろ?」
「人聞きの悪い言い方っすね!俺はかけるんみたいに毎日、寝てないっすよ!テストも狙った所だけやったら、偶々、当たって毎回、回避してるんす。」
「運だけはあるんだな。」
「運だけって酷いよ!俺の味方は運と女の子たち!」
「キモいぞ、奏出。」
「貴様ら図書室なんだからあまり声を出すな。」
「マナーは守りましょうね。」
こうして、個性の強い勉強会が始まった。
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