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「あー無理無理。こんなの、無理ゲーだわ。」
「響木クン、匙を投げるのが早いです。」
「声だけは立派だがな…。」
「キャップーりっつがお手上げだってー。」
「俺はお手上げとは言ってない。誤解を招く発言は止め給え。」
「えーそうじゃないのー?」
奏出はいつでもどこでも、幼馴染の律川をいじらずには居られない男なのだ。それを分かっていても結局、のってしまう律川。
このお決まりの構図に慣れた三人は無視を決め込むのだった。
「あららー、虫の息だねー。今まで勉強してこなかったツケが回してきたようだと思えば、気は楽だと思うっす。」
「どこが気が楽なんだよ!」
「響木クンを煽るなんてやりますねー。あの詩葉クンですら、響木クンを滅多に煽らないんですけどね…。」
「そういえば、詩葉は呼ばないのか?」
「あいつに勉強とか、教わったら…何か更に疲れそうじゃん。」
「酷いです、響木クン。」
「ここには居ないけど、かけちゃんは詩くんのこと、苦手だもんね。」
鍵崎が言うとばつが悪そうな顔をして目を逸らす響木。
幼馴染の鍵崎からカミングアウトされて吹っ切れたのか、今度は本音を語る。
「んー何ていうかー、詩葉は何、考えてるか掴めねぇんだよ。頭もいいし、軽音部の部長だし、何でもできるし…同級生の中では不気味な感じ。」
「確かに詩葉クンは大人っぽいですよね。考え方も聡明です。」
「つばさんとかけるんに一目、置かれてるキャップ、羨ましいっす!」
「褒めているものの、響木は苦手と言っているが…。」
勉強が進むどころか、雑談がヒートアップしているメンバーたち。
最早、シャーペンを持つことすら、放棄している。
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