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「やっぱり、ファミレスとかでやった方がいいんじゃない?」
「そうですね。響木クン、少しは集中して下さい。」
「音沢の言う通りだ。」
「うわっ!う、詩葉じゃねーか!?いきなり来て、お、驚かせんな!」
唐突に現れたのは、学年トップの成績を誇る成績優秀者、Melody・Holicのドラム、詩葉航だ。
「詩葉クン、こんにちは。」
「何やらみんなで楽しそうなことをしていると奏出から聞いたからね。」
「奏出クン、詩葉クンに連絡したんですか?」
「うん。折角だし、キャップも巻き込んじゃおうかなってね。」
「ざけんな、奏出!詩葉が来たら俺、死ぬだろうがっ!」
「何だって、響木?」
「更にカオスだな。」
「律川クン、余裕ですね。」
「常に予習復習は欠かせないからな。今回も想定内だ。」
「でも、りっつ、いつもキャップに勝てないよねー?」
「黙れ、奏出。」
詩葉のスパルタ勉強会が始まろうとしたその時、図書委員長に注意され、図書室を見事に追い出されたのだった。
「結局、追放されちゃったっすね。」
「主に文句ばっかりのかけちゃんの所為だよ。」
「うっせえ、真琴。」
「折角、詩くんまで来てくれたのにー。罰として、かけちゃんの家でやろう!」
「マジかよ。」
「響木クン、観念して下さい。こうなったら、鍵崎サンはノンストップです。」
「ったく、真琴の奴、めんどくせーな。」
「響木の為に献身的な幼馴染じゃないかい?」
「感謝した方がいいっすよ、まこっちゃんに。」
響木は舌打ちしつつ、鍵崎の頭に触れた。
鍵崎は首を傾げるが、詩葉は微笑んでいた。
「ほら、何、ボーっとしてやがる!お前ら、俺に教えてくれるんだろ、べんきょー。」
「お言葉に甘えて、お邪魔します。」
六人で勉強会を始めた。
響木のポテンシャルは五人の想像を超えた。
スポンジのように知識を吸収していく。
「珍しく勉強したから、頭いてぇー。」
「響木クンの成長速度には驚かされました。」
「やれば、出来るんすね?」
「響木、あくまで最終手段だが、これをやろう。」
「律川クン、何ですか、それ。」
「鉛筆に数字がふってあんな。」
「まさか、それを転がす感じー!?」
「この鉛筆で間違えたことは一度も無い。名付けて無敗鉛筆だ。」
「律くん、面白いね!」
「鍵崎も欲しいか?」
「まあ、最後は運だ。響木に教えることはもう無い。健闘を祈るよ。」
「ありがとな。赤点回避してやる。」
そして、運命の返却日。
響木の前に音沢が現れた。
「おっ、翼、どうした?」
「結果はどうだったんですか?」
「問題ねぇー。むしろ、俺の最高記録、叩き出しちゃったな。」
「全教科、良かったんですね。」
「特に全部、選択肢の日本史。見ろ、85点だぜ。分かんねぇ所は全部、律川の鉛筆に任せたら、こうなった。あいつの鉛筆、マジで強い。」
「響木の場合、全部、鉛筆、転がしてそうだな。」
「バ、バカにすんなよ、詩葉!」
「まさか、図星ですか?」
「んな訳、ねぇーだろーがっ!」
真相は響木しか知らない。
闇の中である。
響木は見事、全教科、赤点回避を達成した。
「マジっすかー!かけるんに日本史、負けたっすー。」
「奏出、ざまぁ。」
「貴様には俺の鉛筆、貸さないからな。」
「差別っすよーりっつ!」
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