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#2 game
今日は球技大会。
メンバーたちの運動能力はどうなのか、音沢は密かに気になっていた。
「幾らお前らでも、負けねぇからな!」
「生徒会は運営で忙しそうだね、奏出。」
「キャップ、そんなこと、軽々しく言わないでほしいよー!この先が思いやられるっすー。てか、俺、かいちょーに呼ばれているみたいなんで、行って来るっすよー!」
「行け行けー。そんで、二度と帰って来なくていいぞー奏出-。」
「響木クン、ドライすぎます。いくら何でも、奏出クンが可哀想です。」
「音沢、その言葉が一番、奏出に突き刺さるんじゃないかな?」
奏出は実は生徒会と軽音部を兼任する強者。
行事は大概、生徒会運営なので息を切らしながら取り組むことが多いのだ。
「みんな、エキサイトしすぎて、くれぐれも指をけがしないように。」
「詩葉ぁ、誰に言ってんだよ。」
「目の前の君だよ、響木。」
「俺は体育だけは常に5なんだぜ。けがなんかしねぇー。」
満面の笑みを浮かべて構える響木。
その横に居た律川は思わず、ため息を漏らす。
「…体育だけ、とは聞き捨てならんな。」
「相変わらず、うっせぇなー、律川はよー。」
「響木クン、キミ、バスケットボールにもエントリーしてましたね。突き指して、ベース、弾けなくなっても知りませんよ?」
「心配無用だぜ、翼。俺の運動神経、なめんなよっ!」
「…キミって人は…。困った相棒ですね…。」
「…っ、初めて翼の口から相棒って言われたわ。やべぇー!何か分かんねーけど、グッときたっ!」
「全く…キミのテンションの変化は分かりやすくて助かります。」
「音沢は何に参加するんだい?」
「バレーボールです。」
「おいおい!ちゃっかり、お前も突き指しそうな競技に出てんじゃねぇーか。」
「…残り物がバレーボールだったんです。満面の笑みでエントリーしたキミとは違います。」
「同じクラスじゃねぇのに何で分かった!?もしかして、恋の力か?テレパシーが出来るぐらい、俺と翼の相性が良いってことか!?」
「…結構、ボク、引いてます。」
「響木は、おめでたい頭の持ち主だな。」
「単に貴様が分かりやすいだけなのだよ。」
他愛のない話で盛り上がっていた。
彼らは高校生だ。
時に行事で羽目を外すのだ。
「翼、俺、実はバレーボールもエントリーしてんだ。」
響木の衝撃のカミングアウト。
律川は思わず、固まった。
正に思考停止。
詩葉は若干、引いたが、いつもの笑みは絶やさず、はにかんでいた。
「キミのクラスにバレーボール部は居ないんですか?」
「居るけど、俺、結構、センスあるらしくてよー、困ったことに勝手にエントリーさせられちまった。」
「…自慢ですか。キミ、人をイラつかせる天才でもあるんじゃないですかね。全く…音楽の才能と運動能力も兼ね備えるなんて、キミはハイスペックですね。」
「その代わり、勉強の才能は皆無だが…。」
「詩葉クン、手厳しいですね。」
「まあ、今回は免じよう。バレーボールには音沢も居るからね。」
「流石の詩葉でも、翼には甘いんだな。」
「残念だが、俺はサッカーだから対戦はなさそうだね。」
「俺もサッカーだ。詩葉だからといって手は抜かないのだよ。」
「律川は手強そうだね。」
「俺の言葉はスルーかよ。」
そして、各クラス毎に試合が始まるのだった。
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