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私は教えられた病院へ飛んだ タクシーの中で私は嫌な予感と後悔にさいなまれた そういえばあの日 pの様子は変だった 折り返しにかけてくると言ったのに電話はなかった 律儀なところのあるプロデューサーが待ちぼうけをかけてくるなどおかしかったのだ あの時もう何か起こってたのかもしれない 確かにプロデューサーには今妻がいるが若い妻なので夜遊びと手を切れないらしくプロデューサーはぼやいていたのだ 私が気をまわしていればこうなる前にふせげたかもしれない プロデューサーは妻が発見するまで一人で苦しんでいたのかもしれない 普段の私ならもっと気配りが出来たはずだ しかしあの日 あの番組を見てから私は何か心を乱されてしまった    そんな事を考えながら私は病院に到着した 受付で私はプロデューサーの病室を確認した私はあせる気持ちを落ち着かせながら病室につながるエレベーターに乗った 身内の大病を経験した事のない私は病院に対しては主観的な緊迫感をもっていなかった 私は身内の病状が深刻な人達は病院に対して主観的な緊迫感を感じているというのを初めて理解した 俳優としては本当に情けない限りだ 恋人の危機に病院に走り戻ってくる若い刑事を演じたこともあったのに これでは大根と言われるはずだ ただ人形のようにセリフをしゃべっただけなのだから
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