6人が本棚に入れています
本棚に追加
私がそんな事を考えていられたのはまだ気持ちに余裕があったのかもしれない プロデューサーの病状に緊急性を感じないわけではないがこの業界では過労で気を失うなんて珍しいことではない 確かに予断を許さないとは言え過労は過労だ 現代の医学では余程の手遅れにならない限り復帰できる 私の名をうわごとのように呼んでいるというのは何か嫌な予感がするのだが 私はまだ最悪の所まで頭がめぐっていなかった そして私は病室の前に到着した 病室は静かだった 私はドアを開けるとき極めて楽観的なイメージを頭に浮かべた それはプロデューサーがベットに半身起き上がっていて雑誌などに目を通している姿だった そしてプロデューサーは私に気づくと言うのだ なんだヤマちゃん 来たのか 嫁の奴 大げさにしやがって 俺は骨休めしてるだけだから早く現場へ戻れ しかしその期待は一瞬にして崩れた ドアを開けた途端私の脳に前のイメージを逆流させるように強烈なイメージが流れて来た そのイメージはプロデューサーの顔に白い布がかかっているイメージだ 私は少し幻惑したが頭を振ってイメージを振り払った その私の目にプロデューサーの下半身が見えた 私はおそるおそる視点を顔の方にずらして行った プロデューサーの横顔が確認できた 私はほっと息をついた
最初のコメントを投稿しよう!