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水の結界内で、アレが足掻くように動いたが、少女がしっかりとアレの顔を押さえ、逃げられないようにしている。
少女はアレの細い目を見つめた。
「今度は一緒に行くから」
アレだけに聞こえるように、囁いた。少女の険しい目つきとは裏腹に、詫びるような声音だった。
アレが、悲し気に顔を歪めた。
「ウソだ」
「・・・」
少女の指が、アレの目元をなぞった。
「ごめんね」
アレは目を閉じ、精一杯の咆哮をあげた。
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