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すごい勢いで落ちていって、死を覚悟した瞬間、地面スレスレで私の体がピタリと止まる。
そのまま、トンッと足から落ちて、私の体は無事に地面に到着した。
……生きて、る?
おそるおそる体を動かしてみるけど、どこにも何の異変もない。
辺りを見回すと、やっぱり真っ暗だったけど、お空から見ていた景色とは全く違うところにいることに気がつく。
電信柱も、バイクや車も、街灯も、お店もない。お家はあるけど、私の見たことあるお家とは違うみたい。
ママがたまに見てる時代劇に出てくるようなお家によく似てる。
足を動かして砂利道を走ってみるけど、やっぱり見慣れないものばかりで、知っているお家もよく見慣れた景色も一つも見当たらなかった。
まるで、全く違う場所に来てしまったみたい。
私、本当に知らない場所に来ちゃったの?
でも、......どうしてだろう。
あんなに知らない場所に行きたいと願ったはずなのに。
お空を飛んだ時はあんなにワクワクしたのに。
今はワクワクよりも、寂しさや不安で押し潰されそうになってるの。
暗闇の中で全く見慣れないところにひとりぼっちでいると、どうしようもなく心細くなってママに会いたくなった。
ママ......、会いたいよ。
心細さに小さく嗚咽を漏らしながら、もう二度と会えないかもしれないママを求めて、私は必死に走り回った。
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