小さな大冒険

3/4
前へ
/4ページ
次へ
すごい勢いで落ちていって、死を覚悟した瞬間、地面スレスレで私の体がピタリと止まる。 そのまま、トンッと足から落ちて、私の体は無事に地面に到着した。 ……生きて、る? おそるおそる体を動かしてみるけど、どこにも何の異変もない。 辺りを見回すと、やっぱり真っ暗だったけど、お空から見ていた景色とは全く違うところにいることに気がつく。 電信柱も、バイクや車も、街灯も、お店もない。お家はあるけど、私の見たことあるお家とは違うみたい。 ママがたまに見てる時代劇に出てくるようなお家によく似てる。 足を動かして砂利道を走ってみるけど、やっぱり見慣れないものばかりで、知っているお家もよく見慣れた景色も一つも見当たらなかった。 まるで、全く違う場所に来てしまったみたい。 私、本当に知らない場所に来ちゃったの? でも、......どうしてだろう。 あんなに知らない場所に行きたいと願ったはずなのに。 お空を飛んだ時はあんなにワクワクしたのに。 今はワクワクよりも、寂しさや不安で押し潰されそうになってるの。 暗闇の中で全く見慣れないところにひとりぼっちでいると、どうしようもなく心細くなってママに会いたくなった。 ママ......、会いたいよ。 心細さに小さく嗚咽を漏らしながら、もう二度と会えないかもしれないママを求めて、私は必死に走り回った。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加