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普段の柔らかい表情も、 時折見せる険しい表情も大好きだった。 寡黙な彼が自分の好きなことを少し熱くなって話してくれると、心を許されている様でいつも嬉しい気持ちになった。 その声も仕草も、その何もかもが私を夢中にさせて愚か者へと導いた。 胸の痛みが、まだ彼を愛していることを強く認識させる。 彼が出て行く時、 目を覚まさなくてよかった。 振り返るあなたといつものようにキスをしていたら私は今日も「部屋」から出られなかったかもしれない。 それからは、彼に似たシルエットを見かけては胸を焦がす日々が続いた。
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