1/1
134人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

流れる月日は人を熱し、冷まし、鉄のように強くさせる。 決して人に言える恋愛ではなかった。 「思い出」と呼ぶのは烏滸がましい。 しかし、それは確実に私を強くしてくれた。 「どうした?早く行くぞ」 差し出された旦那の手に、私は迷いなく飛びついて歩き出した。 曖昧な未来より大切なモノはここにある。 今感じる指輪の微かな冷たさは、「あの時」と違って心地よかった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!