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プロローグ
魔界にはたくさんの魔物、魔人、獣人が溢れかえっていた。
そんな中魔界全てを統べる者がいた。
魔界では魔王の言葉は絶対であり誰もが魔王の配下として働いていた。
「やぁ、骸骨くん」
「はっ!何でしょうか!」
「魔界飽きた 」
「え」
「いやー、もう天界と戦争して3000年弱だろ?戦争もなけりゃなーんにもないじゃん?」
「いや…それはよろしい事ではないかと…」
「飽きたんだよね~」
「あ、飽きましたとは…」
くるくると腰まである髪をいじりながら魔王は続けざまに言葉を吐く。
その内容にざわざわと配下である魔物達が言葉を漏らす。
❝人間界に行きたい❞
吐き捨てた言葉に阿鼻叫喚する魔物達に続いて骸骨と言われた魔物は人一倍高い悲鳴をあげた。
成りませぬ!!!
どこかで発せられた言葉を無視して魔王はため息を短く付くと、玉座の肘掛に項垂れた。
「だって暇だもん…」
「ににに、人間界なんて恐れ多い!!」
「いや、怖くないでしょ、こうちょちょいのぱっぱで」
「馬鹿ですか!?馬鹿なんですか!?人間界は魔法も魔力もないんですよ!?」
「えー?そうなのー?」
「それに生きていく為の魔界の#瘴気__しょうき__#でさえない!!」
「あ、それは困る」
「でしょ!?」
必死で魔王の行きたいと言う気持ちを沈めるも「えーだってー、でもー」と続ける魔王。
昔から魔王はしたい!やりたい!と決めた事は実行すると分かっていた骸骨はダメです!と念を押した。
それでも「つまんないんだもん」と言い続ける魔王。
何度も口うるさくいう骸骨に魔王は折れた。
「わかったよー…行かないよ…」
「それなら良いのです…」
ほっとしたのもつかの間、ブォンという音と共に突如魔王の頭の上にピン色の魔法陣が現れた。
へ?と骸骨がすっとんきょんな言葉を発したと思うと魔王はニヒルに笑った。
「❝行かない❞とは行ったが人間界とは言ってない」
その言葉を最後に魔王は「とうっ!」と魔法陣の中へと飛び込んだ。
たくさんの悲鳴を最後に魔王の高らかな笑い声が城に響いた。
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