君がくれた、最後のプレゼント

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「もう、3年か.......」 俺は、あの頃のことを思い出しながら、賑やかな夏祭りの道を歩く。 所狭しと出店が並んでて、アイツが「たこ焼きとー、焼きそばと.......」と指折り食べたいものを言ってたっけと思い出す。 昨日のことのように思い出すのに、もうあれから3年。 「永輝(えいき)!置いてかないでよー」 歩こうとした俺の腕を引っ張る感覚がして、俺の足は立ち止まる。 「.......みや?」 俺は、目の前に現れた3年前にお祭りにきた姿のまま立っているみやに動きが止まる。 「もう、永輝?なに、そんなビックリしてるのー?」 「.......いや、大丈夫。行こうか」 みやの手を握って、歩き出す。 「ねぇねぇー、焼きそばとお好み焼きとーあと何食べようかなぁ」 「食べたいものなんでも言えよ。なんでも買ってやる」 あの時はできなかったことも、今なら余裕でできる。 「なんか、永輝大人になった気がするー。変なの」 「みやは変わんないね」 そりゃ、そうだろう。 みやは3年前のお祭りの帰りに亡くなってしまっているんだから。
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