48人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「もう、3年か.......」
俺は、あの頃のことを思い出しながら、賑やかな夏祭りの道を歩く。
所狭しと出店が並んでて、アイツが「たこ焼きとー、焼きそばと.......」と指折り食べたいものを言ってたっけと思い出す。
昨日のことのように思い出すのに、もうあれから3年。
「永輝(えいき)!置いてかないでよー」
歩こうとした俺の腕を引っ張る感覚がして、俺の足は立ち止まる。
「.......みや?」
俺は、目の前に現れた3年前にお祭りにきた姿のまま立っているみやに動きが止まる。
「もう、永輝?なに、そんなビックリしてるのー?」
「.......いや、大丈夫。行こうか」
みやの手を握って、歩き出す。
「ねぇねぇー、焼きそばとお好み焼きとーあと何食べようかなぁ」
「食べたいものなんでも言えよ。なんでも買ってやる」
あの時はできなかったことも、今なら余裕でできる。
「なんか、永輝大人になった気がするー。変なの」
「みやは変わんないね」
そりゃ、そうだろう。
みやは3年前のお祭りの帰りに亡くなってしまっているんだから。
最初のコメントを投稿しよう!