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『茜は可愛い』
『茜の食べているところを見ると元気になるんだ』
群司さんのその優しい言葉は結婚した今でも変わること無く、毎日何かにつけてはいわれていた。
「可愛いよ! ただでさえ可愛い茜が痩せて益々魅力的になって……困る」
「えっ」
「同僚にいわれるんだ。茜が可愛過ぎておまえには勿体ないとか、あんなに可愛いと他の男に取られるぞとか……不吉なことしかいわなくて」
「……何、それ」
確かに結婚式の時、群司さんの仕事関係の何人かに会って祝福されたけれど、そんな風に思われていただなんてこれっぽちも思わなかった。
「本当にもう、茜は可愛過ぎるんだ! 前は俺だけがその可愛らしさを解っていたのに痩せてからは世の中の男全てが茜の可愛さを認識してしまったじゃないか!」
「……」
この夜、私の知らない処で私に対する世間の認識が変わっていたことを改めて知ってしまった。
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