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タ方の〇宮に出ると、人でごった返していた。大勢の男女が行き交っているが、大抵は空海の美貌に振り返る。
「多分、いや絶対俺ら誤解されてるで」
俺は思わず呟いた。
「何がや?」
「クリスマスに男二人で連れ立って。しかも空海は超イケメンやし。絶対モーホーや思われてるわ」
「それはあかん事なんか?」
「別にあかん事ないけど、俺は女の子の方が好きやで」
そう言った時、前から歩いて来たスーツの男とぶつかりそうになった。
「あ、ごめん」
二人は同時に言って、同時に気付いた。
「あ、憲吾(けんご)!」
「あ、弘史!」
「憲吾お前こんなトコで何やっとぉねん?」
「仕事や仕事。明日までに終わらさなあかん仕事があんねん」
「ヨメさんと子供は?」
「じいじの所でメリークリスマスや。ところでこの人は?」
憲吾は空海に目を移した。
「ああ。俺の同居人の、空海や。空海、こいつは俺の中学高校の同級生で、大道憲吾」
「大道さん、よろしく。弘史の部屋で居候している空海と申します」
空海はそう言って軽く頭を下げた。
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