先輩と彼氏さん

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「あんな女、こっちからお断りだっ!そんな手を使わなくたって、俺は出世する。縁談断って閑職に飛ばされるなら、喜んでもっといい条件のところに転職してやる。俺は、お前がおかえりって出迎えてくれるから、それを楽しみに仕事に行けるんだ。他のヤツじゃ、だめなんだっ。ふぐっ、うぅぅ…俺、最近ずっとすれ違いで、ほんとは寂しかった!お前とのんびり話したり、休みの日に遊びに行ったり、したかった!お前、すげえ才能がある奴だから、いつかこの家出ていくかもしれない、世界に飛び出すかもしれないって覚悟してたけど、そんでもやっぱり、お前が海外で活躍し始めたら、すげえ不安で…辛く当たった。最近は『ありがとう』の一言もちゃんと言えなかった。ごめん…こんな不甲斐ない男で。それでも、お前なしじゃ、俺は生きていけねえ…。」 先輩のすすり泣きが聞こえる。 「シンガポールにいく話も、ちゃんと決まったら言おうと思ってた。そしたら、ヨーロッパのクライアントとする仕事、時差がちょっとはマシになるだろ。だから、俺と一緒に行こう。っていうか、行って、ください。おねがい…します。俺を見捨てないで…。」
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