オレとあいつ

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ってわけで、翌日の土曜日。 少なくとも呆れられたと思ってた後輩君のご厚意で、彼の家にオレの荷物をちゃっちゃと運びこませてもらい、退去準備はほぼ完了。デスクとかベッドとかは、ちゃんと引っ越し先が決まったら引き取らせてもらおう。別れ話の修羅場を見せてくれ、とめちゃくちゃワクワクした顔でのたまう後輩君には、すまないけど先に帰ってもらった。あいつの上司とそのお嬢さんが、ワンチャン、あいつと晩飯食いに行くかも、って話は後輩君から教えてもらってたから、しばらく待つかと思いきや。あいつは割と早い時間に帰ってきた。何だか機嫌良さそうにして。きっとデートの約束でもしてきたに違いない。そうか、そうか。よかったな。なら、オレはしっかりやるべきことをやるまでだ。未練なく、こいつを出世街道に送り出してやる。それが今の俺にできるベリーベストだから。 「…おかえり。オレ、この家出てくから。」
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