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「さ、てと。」
首をゴキゴキ回しながら、迷いなくクロゼットへと歩いてくる。やばい、やばい、やばい。
クロゼットのドアが、きぃと開いた。
「お”い。」
「は、はひぃ。」
「うちのが、いろいろ世話になったな。」
やばい、今、俺の目の前には、ヤクザがいる。
「滅相も、ございません…。」
「余計なことをあれやこれや吹き込みやがって。」
地を這う声と共に、先輩の足が俺の肩をがすん、がすんと踏みつける。地味に痛いっす…。
「まあ、おかげで絆が深まったつうの?あいつも腹くくってくれたからな。結果オーライってことにしとく。あいつの荷物は明日の朝一でこっちに戻せ。」
もちろんです!
「お前、あわよくばあいつの味見でもしようと思ってたなんてこと、ねえよなぁ?」
ない、ない、です。俺は首が千切れんばかりに左右に振って見せる。本当は失意の彼氏さんを慰めつつ、がっつり後釜になんて思ってたことは噯にも出せねえっす。ベッドの上での乱れっぷりも俺好みなのに、まじで残念…。
「今日は特別にチラ見はさせてやったが、これっきりだぞ。」
えー。
「不満そうな顔してんじゃねぇ。」
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