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「心のなかまで解るの?」
「ウン。僕は人間じゃないからね」
ユタカ君は頷くと、グルリと一回転して大きな茶色い尻尾を見せた。
「また、遊びに来てもいい?」
私は爪を弄りながら上目使いで聞いた。
「勿論だよ。でもさっきも言ったけど、ここのことは内緒だよ」
私はウンと返事をすると、金色のドアを開けてから、また四つん這いになって床下換気口から外に出た。
「相田さーん」
「瑞穂ー。瑞穂ー」
みんなが私を探す声が聞こえる。ああ、心配かけちゃった。
「あっ、いた。何時までかくれんぼやってるの」
「ゴメン、ゴメン」
「みんな心配してたんだよ。いなくなったって」
「ウン、かくれんぼだからね」
私はちょっと頬を緩めて笑った。青空が眩しく、白いうろこ雲が広がっていた。
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