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ここなら、先生もそう簡単に見つけられないだろう。私は怖さがあったが安心感が勝ってそのまま暗闇の中で横になった。音楽が心地よく、催眠術にかかったようになり、そのまま寝てしまう。どれくらい時間が経過したのだろうか。気が付くと動物の耳を生やして、銀色の目をした、男の子の顔が目の前にあった。
「あれっ、きゃっ」
私はびっくりして飛び起きた。と言っても狭い体育館下なので顔だけである。男の子は頬杖ついてニヤニヤ笑う。
「ねえ、君、なんでここにいるの?」
私はまだ夢を見ているんじゃないかと顔を左右にブルブルさせて、男の子の顔をよく見た。見間違いじゃない。コスプレ?
「ねえってば、僕の質問に答えてよ」
「あ、うん。かくれんぼしてたの」
「プッ、かくれんぼ?君高校生だろ」
「しょうがないじゃない。先生が体育の授業だって言うんだもの」
私は少し頬を膨らませた。ああ、拗ねてる場合じゃない。この子の正体を確かめなければ。学生服を着てるってことは同じ高校なのかな。でも動物の耳に銀色の目。いったいどういう事なんだろう。私は首を傾げた。
「君こそ、いったい何なの?何でこんなところにいるの?」
「ここに住んでいるからさ」
「こんなところに?」
「この下に部屋があって、そこに行く道があるんだよ」
「えっ、地下室があるの?」
「うーん、何時もだったら教えないけど、君には特別に教えてあげる。君、友達いないでしょ」
「な、なんで解るの?」
「ふふふ、それくらい解るさ。あっ、僕の名前はユタカ」
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