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「今日はここまで」
「えー、これだけ」
「ウン、だって瑞穂ちゃん帰らないとじゃない?」
「そっかー。そうだよね。どれくらい時間経ったんだろう」
「2時間、くらいかなあ。瑞穂ちゃん寝てたもん」
「そうだ」
私は片目をギュッと瞑った。
「パンク聞きながら寝ちゃう子って300年ぶり」
ユタカ君はそう言って笑う。ああ、このままここにいたらダメかな。また、クラスのみんなにいじめられて高校生活を送るのなんていやだ。
「瑞穂ちゃんが考えてること解るよ」
ユタカ君が真剣な表情になった。バンドの皆もウンウンと真剣な眼差しをこちらに向ける。
「でも、僕、耳が人間の何十倍もいいから、外の音が聞こえるんだ。あの子がいなくなったって皆が心配している声がする」
「あの子って私かな」
「瑞穂ちゃんしかいないじゃん」
「そうか・・・」
「瑞穂ちゃんのこといじめてた子もいなくなった事で反省してるよ。帰ってあげなよ」
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