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ケイは悔し涙を堪えながら大きく首を振ると文句をぶちまけるように喋りだした。
「それじゃあダメなの。もしもウサギさんとかがケイたちが見つけるよりも早く見つけて、パクッと食べちゃったらどうするの?そしたら手遅れじゃない。それがあればおうち近くってお母さんいってたんだから。それに何よコクサクって。ダムって何?どうして村が沈められなきゃいけないの?誰がそんなひどいことするの?ずっとこのままでいいじゃない。ねえ、そう思わない、ヒキガエルさん」
ムム――。
「なによ、ケイの前のそのそ歩かないでよね、邪魔なんだから。もしもそこに五つ葉のクローバーがあって、ペチャッてなっちゃったらどうしてくれるのよ。レイくんは明らかに帰りたそうな顔でこっち見てるし。フンだ。もう怒った。レイくんも悪いけど、ケイが探してるとこのそのそ歩いたカエルさんも悪いんだからね。あっち行かないっていうならこうしてやるんだから。えいっ――」
心の不満を全部吐露すると、ケイはそれまでまさぐっていた場所を諦め立ち上がった。目を凝らして辺りをきょろきょろする。
すると5メートルばかり下った先にクローバーが密生している場所を見つけた。斜めに倒れている倒木の向こう側だ。
ケイは一目散に下って行った。
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