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16歳の秘密
「さてと」
ふたりきりになって、早紀が口を開いた。
「正直に答えてね」
「はい」
「キスの経験もないと言っていたけど...オナニーは?」
「え?」
「オナニー、マスターベーション、自慰、言い方はなんでもいいわ。要するに自分で自分の身体を触って気持ちよくなったことはない?って聞いてるの」
「そんなこと...そんなこと関係あるんですか?」
「あるかないか、わからないわ。でも、可能性の問題なのよ」
裕美香は、真っ赤になってうつむいている。
「それは...」
「気持ちいいよね」
早紀が言った。裕美香は「え?」っと顔を上げた。
「オナニー。気持ちいいよね。私もしてる。覚えたのは中三くらいかなぁ。自分の『そこ』がどうなってるのか、気になってね。鏡で見てたら濡れてきて、触ったら電気が走ったみたいに頭のてっぺんまでしびれちゃって、はは、なつかしい」
「そんなこと..」
「別に恥ずかしいことじゃないんだよ。だからと言って、みんなに言って回るようなことでもないけど、ね。健康な身体を持っていて、健全に成長していれば、男でも女でも、思春期にはそういう欲望が生まれて当たり前だし、その解決方法として、オナニーはもっとも簡単なんだから、誰でも普通に経験してることなんだよ」
「そうなんですか?」
「そうだよ。私だって、さっきまでいた唯だって、アッキーだっけ?テニス部のエースだって、みんなしてる。ただ、それはひとりきりの時の秘め事?普段、友達同士とかではそういう話題は避ける、のが普通、でしょ?」
「はい」
「だから、罪悪感を持つことはないの」
「はい」
「それで?どうやってしてるの?」
「ええ?」
女性同士とはいえ、初対面の相手に、すっごいことを聞いてる...
...しかし、これは、もしかしたら、とても重要なことかもしれないのだ。
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