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ふたりは、試験期間が明けた3日後に、妊娠した娘、大原裕美香に会いに行った。
大原家は、まだ新しい一戸建て住宅に住む、ごく普通のサラリーマン家庭らしい。兄と弟がおり、両親共々、裕美香のことを大変心配している様子であった。
裕美香は自室にいた。早紀と唯が会いに行くことは、唯の後輩から伝えてもらってある。
「こんにちは」
「すみません、変なことお願いしちゃって」
「変なことって?父親捜し?」
早紀が、先制パンチとばかり鋭い質問をする。
「いえ、父親..なんて..私、本当に、そういう経験ないんです。キスだってまだなのに..」
裕美香は今にも泣き出しそうだ。
「まあまあ、ちょっと座ってもいいかな?」
唯が、何故か取りなすような物言いで、場を鎮めようとする。
「あ、どうぞ」
「あの、お聞きしたいんですが..」
「何?」
「こんなこと聞きにくいんですが..」
「なんでも聞いて」
「その、知らないうちに、つまり眠っている間とかに強姦されて気づかない、ということってありませんか?」
本当に、思い当たるふしがなければ、最初に思いつくであろう質問を裕美香はした。
「無いわね。あなた処女?」
「はい、本当ですよ」
「だったら、なおさら..かな」
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