僅かな可能性

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僅かな可能性

「えっ?ええええ~??あんた、そんなこと聞いたの?」 早紀から裕美香のことを聞いた唯は、耳まで真っ赤になっていた。 「しょうがないじゃない。そこがはっきりしないと、私の推理が行き詰まるんだもん」 「いやいや...え?推理?」 「うん、まあ一応」  ふたりは、渋谷にある『エラーブル探偵事務所』にいる。 『エラーブル』とはフランス語で「(かえで)」の意である。 ふたりの「先生」楓准教授が、「実証実験」と言って開設している探偵事務所である。  唯はここで楓の助手をしている。その関係で早紀もよく遊びに来る。  楓は、今日はまだ大学にいて、事務所にはふたりしかいない。(唯にとって)刺激的な言葉が飛び出す『秘密の話』をするにはもってこいの場所なのだ。
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