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わたしが入社してすぐに一目ぼれしたのは、俊介社長だった。
社長に一目惚れなんて、バカだ。
本当にそう思う。
入社してすぐに秘書課に配属され、わたしは俊介社長との奇跡のような恋を夢見ていたが、それも今日でおわりになる。
3年前に社長直属の秘書に任命され、毎日社長のそばにいられたのは本当にうれしかった。
うっかり思い出して、わたしの目に涙が浮かんでくるのを感じた。
取引先がわたしのせいだというならば……たとえ疑いであったとしても、そんな言いがかりで、取引先が減って、社長の大事な会社に傷をつけることになったら、わたしは耐えられない。
社長の苦しむ姿なんて、見たくない。
でも、会社を辞めたら……、わたしに何が残るのだろう。
大学を卒業して、仕事しかしてこなかったわたしには、仕事しかないのに……、これからどうしたらいいのだろう。
わたしは一体7年も何をしてきたんだろう。
仕事以外何も……ない。
社内合コンでも社内恋愛でもして、結婚すればよかっただろうか。
今さらながら、会社人間、プライベートは後悔だらけだ。
せめて最後まで社長の信頼の厚い秘書、仕事のできる秘書でいたかった。
もう知らない! なんとかなる。貯金もある!生きがいもやりがいも後で見つければいい。とにかく、休まなきゃ。
わたしは万が一のため退職届を机の上に置いて、帰宅した。
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