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社長室に忠明さまは笑いながら入っていった。 ひー。な、なんで? はあ? わたしは突然のことで大パニックだ。 あ、あれは……。そうだ。冗談だろう。 冗談でないといっていたけど、冗談に決まっている。 忠明さまも人が悪い。 ぼんやりと自分のデスクの片づけをしていると、秘書課のみんなが出社してきた。 わたしは、突然の有給休暇をとって申し訳なかったと非礼を謝った。 秘書課のみんなは誰一人怒っていなかった。そしてわたしが出社したことを大喜びしてくれた。 みんな、ありがとう。 わたしは涙が出そうになった。 社長の要望に応えるのが大変で、業務が滞っていたようだ。 「よかった! 来てくれて……」 「ありがとうございます。高橋先輩……」 あちらこちらで安堵の声があがる。 「それから、わたし、これからは生き方を変えようと思います」 「ええええ!」 わたしの発言に、秘書課がざわついた。 「皆さんに言わなくてもいいことですが、この休暇中、人間ドッグを受けてきました。そこで、健康って大事だなって……、改めてわかりました。これからは9時5時で帰ることを目指し、婚活しようと思います」 わたしが強く言い切ると、秘書課から大きな拍手が沸いた。 わたしが婚活するってそんな感動的なことなんだろうかと思いながら、一礼した。 「なかなかいい決意だと思うよ。そうこなくちゃね。さっそく食事会を手配するね。心配していたんだよ」 「先輩、タイプはどんな感じですか? まえから先輩と一席設けてほしいって頼まれていて」 同僚も後輩も婚活仲間として温かく迎えてくれた。 これぞ、大人の青春だ! 今から恋愛して婚活するぞ。 わたしは感動して胸が熱くなった。
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