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こんなことになったのは、どうしてなのか。どこをどう、何が間違ったのか。 わたしはぶつぶつと考えながら、バンテリンを薬箱の中から探しあてる。 朝は一番出社が気持ちいい。 この快感は知っている人だけのものだ。最近、わたしは一番勝負に負けていたので、今日こそ朝、会社に一番に到着!と気合をいれて会社に来たら、すでに出社している人がいた。 営業一課の近藤さんだ。甘いマスクで大人気らしい。仕事もできるらしく、ホープと言われている。 仕事ができる人は人の見ていないところで努力してるんだな。 業務開始時間になると、営業の仕事が忙しく、情報収集や事務処理ができないから、早く出社しているんだろう。 気持ち、わかります。頑張ってください。 わたしは心の中で応援する。 わたしは、いつも早く出社する近藤さんのことを感心していた。 人は顔だけで判断してはいけない。仕事ができるにはわけがある。 俊介社長一筋で7年のわたしがいうことでもないか。 実のところ、俊介社長もかなり整った顔をしていて……わたしはイケメンだと思う。 俊介社長は、海外の有名大学を卒業して、日本で起業した。最初は10名ほどだった社員も三年で百人に増え、今や300人規模になっている。厳しい判断をしないといけない場合でも成果をあげ、先日経済雑誌から取材を受けたくらい輝いている実力派だ。 それにわたしは165センチの身長があるのだけど、180を超えた長身というのも社長のいいところの一つだ。人は身長で判断してはいけないけど。 忠明さまというお兄さんもいて、忠明さまも違う会社の社長だ。忠明さまも背が高く、イケメンで……この会社の従業員にとてもやさしく接してくださるのでファンも多い。 近藤さんも176くらいはあると言っていたし、好きだといっている女性社員も結構いる……。いや、かなりいる。 この会社の三大イケメンと言っていいだろう。でも、わたしは筋金入りの俊介社長派だ。
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