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「今日も早いね」
近藤さんはわたしの姿をみつけ、あいさつをくれた。
「近藤さんもお早いですね」
わたしは微笑んだ。
「いつも頑張ってるね、社長秘書の仕事はつらくない?」
近藤さんはやさしくたずねた。
「いえいえ、わたしなんかまだまだ一生懸命勉強している途中ですから。社長の足を引っ張らないようこれくらいなんてことありません……」
「高橋さんは謙虚だなあ」
「そんな……」
わたしは照れた。
「社長秘書業務は激務だって聞いているよ。社長が気に入らないと秘書はすぐに交代させられるか、辞めていっていたのに、高橋さんはやめずに秘書課に7年、社長秘書について3年。ほんとすごいよ。あの、パワフルな社長についていけるなんて、スーパー秘書ってもっぱらの評判だよ」
「えええ……そんなほめていただいても、何もでませんよ」
わたしはちょっとうれしくなった。
「高橋さんがいないと、社長も何もできないと思うよ。高橋さんはスーパー秘書だからなあ」
ホープの近藤さんに評価されているとわかり、わたしはうれしくて顔が赤くなるのが分かった。
一生懸命に仕事してきてよかった。見ている人は見ていてくれるのね。
わたしはちょっとだけ報われたような気がした。
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