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「と、とんでもない。好きだなんて。そ、尊敬して慕っているだ、だけで……」
おもわず上ずった声で反応してしまった。
わたしは恥ずかしくなって顔を両手で押さえた。
忠明さんは察したようで、「やっぱりね。しかし大変だねえ……君も。俊介は鈍だからねえ。あいつ、全然気がついてないよ。俊介にいやになったら、うちの会社においでよ。この会社より大きいし。待遇もここよりよくするよ」と笑った。
「……」
どう答えていいのかわからなくてわたしが黙ったまま、うつむいた。
「うちの秘書がなにか?」
社長の怒鳴り声が聞こえてきた。
わたしは思わずぴくりと反応した。
「そんなはずない」
社長が憤っている様子がわかる。
忠明さんはスッと立ち上がり、社長室をノックして、勝手に入っていった。
わたしは忠明さんに「あ」と言ったが、忠明さんは「だいじょうぶだから」と小さくいってウインクした。
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