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なんとなく……なんとなくだけど、わたしはトラブルに巻き込まれるとわかった。
わたし、何をしたんだろう。仕事で何かトラブったのだろうか。わたしのせいなのだろうか。
何か社長に伝え忘れたり、書類を渡すことを忘れたりなんてしただろうか。
思い当たるふしはない。
わたしは急いでデスク周りを探った。もしかすると……と思って、机の上からゴミ箱の中まで探したが、渡しそびれている書類や契約書類、電話メモはなかった。
そうなると、あとは……なんだろう。
何か変更忘れとか?
メモは見返したが、すでにスケジュールに変更は反映済みだった。
わたしは社長が社長室から出てくるのを待つことにした。
何か大きなトラブルに違いない。もしかして、わたし、クビかもしれない。うう、お腹痛くなりそう。
社長の、あの剣幕では、それもあり得る。
わたしは大きなため息をついた。
残念なことに時々自分の失敗を事務のせいにしたり、秘書のせいにしたりする人がいる。
わたしは社長直属の秘書になったおかげで、今までそういったことはなかった。そもそも社長はミスをヒトのせいにするタイプではない。
しかし、自分のミスではないのに、丸く収めるために自分のせいにされ……、他の課の女性社員が泣いているのを見かけたことがあった。
わたしも、ああなるのだろうか。社長だったら、わたしのせいにはしないだろうけど……。それよりも社長がわたしの失敗をかぶりそう。
ふと思い、わたしはぞっとした。
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