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「この際なので、しばらく有休をいただきたいと思います」 突然の秘書からの宣言に社長は声も出ないらしい。 「取引先がわたしの責任だと言い張るなら……わたしが一時的にでも退いたほうがいいと思います」 わたしは社長の目をしっかり見て話した。 「いや、だから、きみのせいでは……」 「よい機会です。わたしも有給がたまっておりますので、取らせていただきます。社長の2週間分のスケジュール、必要書類はまとめてあります。連絡先はこちらに。引継ぎはしていきますが、何か困ったことがあれば、わたしが使わせていただいております会社用の携帯にご連絡ください」 高橋美由紀は頭に血が上っていくのを感じたが、一気に社長に伝え終える。 社長は口をパクパクさせていたが、しばらくすると肩をがっくりと落とした。 もはや会社人生これまでかもしれない。でも……、これが最善なんです。社長のためなんです。 社長はわたしを引き留めようと何か言いたげだったが、わたしはにこりと笑って社長室のドアを閉めた。
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