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検査結果がくるまで不安な毎日だった。仕事に行かなくていいということは、考える時間が無限にあるということだ。
わたしは、貯金と保険が今現在どうなっているか確認した。
万が一のためだ。頼れるのはお金だ。
恋人もいない。将来を約束した人もいない。子どももいない。実家は遠いし、頼れない。
わたしは7年間すべてを仕事に使っていた。
入社してから、1年目は疲労で休みの日は寝ていた。
2年目少し余裕ができたかと思ったが、秘書課の人事異動。頼れる先輩がいなくなってしまったため、わたしの仕事が徐々に増えてきたんだっけ。
3年目はますます仕事が増え、4年目はどんどん増えて、社長付秘書になって……、そして7年目の今年だった。
平日は家に帰って寝るだけ。土日は仕事に関連する本を読んだり、講座を受けに行ったりしていて、ほとんどお金は使うことがなかったから、貯金は結構あったのが幸いだった。
これだけ貯金があれば、保険も合わせて、一人で入院してもなんとかなるだろう。いざとなったら、遠いけれど実家に戻る手もある。
保険も、入社してすぐ、よくわからないうちに入っていたものがいくつかあったので、助かった。
あとは……、もし生きられるなら……。
神様、仏さま、生き方を変えますので、どうか命の時間をください。
もし、まだ生きていられるなら、結婚……したい。
結婚が無理なら恋愛がしたいなんて贅沢だろうか。
そういえば、入社した当初は、35歳までに結婚して子どもが欲しいと思っていたことを思い出した。
いま私は29歳。
結婚して、子どもをつくるとしたら……、恋愛できる期間はあと2年、3年だろうか。
ということは、せいぜい結婚を前提で付き合えるのは、一人か二人といったところだろうか。
大学卒業以来7年間ほとんどデートらしいデートはしたことはない。
こんな女子力低下したオンナがすぐに結婚までたどり着けるのだろうか。
まずい。これはまずい。
非常にまずい。こっちのほうが緊急事態だ。
秘書課配属になった時点で、先輩たちに厳しく情報漏洩の注意を受け、社内、社外の人すべてに気をつけろと言われたため、ほとんど出会いといううものから遠ざかっていたのだ。
たまに秘書課の女性を出世のために口説く男性もいるらしい。
わたしは、新卒でそういったオトナの事情がよくわからなかった。
どの人が社長の情報を欲しがっている悪い人で、どの人がいい人なのか。
だから、合コン、飲み会すべて断れば、問題なしと考えたのだ。
ああ、愚かだった。
わたしは若い時の自分を恨んだ。
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