父親

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父親

 先生とご飯を一緒に食べたいから、夜8時になると先生のアパートの階段に座り込む。 「また居たのか、風邪ひいちゃうぞ」  先生はもう慣れたように私を見つけると、そのまま階段を通り過ぎて、自分の部屋のドアを開ける。開けっ放しで私が入るのを待っていてくれているようだ。私はいつものように部屋に入って扉の鍵を閉めた。 「あーあ、寒いなぁ、寒いよ、東京に居た頃はこんな寒くなかった!」  私が愚痴ると先生がうしろでクスリと笑った。私は石油ストーブの前に駆け込んでスイッチを入れる。凍ったように冷たい手袋を外すと、手をすり合わせてストーブがつくのを待っていた。 「今日は何作るの?」 「どうしようかね、鍋にでもするか」 「なにそれ、賛成!」  やっとストーブの灯りがついたけれど、私は先生の元へ行っていっしょに台所に立った。
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