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「どーいうことだよっ!!」
お洒落なレストランのような大学内のカフェテリアで俺、高遠颯斗は珍しく大声を出していた。
目の前で座っている高校時代からの親友、赤羽心織はにこやかだが満面のしたり顔を浮かべてこちらを見つめている。
周囲にいた生徒たちの視線が一斉にこちらへと注がれているのが分かったが、俺は一切それを気にしている余裕は無かった。
なぜならば――
「なんだって、俺の知らないところで勝手に俺が学園祭のミスターキャンパスにエントリーされているんだよ!!どう考えてもおかしいだろう?!」
思わず仁王立ちで心織に迫る俺は、 貧乏暇無し高級カフェでのバイトに明け暮れている学内選抜で狭き門を勝ち抜いた奨学生だ。
ちなみに、ミスターキャンパスとは大学内で一番人気の男子生徒を決める学園祭恒例のメインイベントの1つだ。華やかでお金がかかりそうなこのイベント、今の今まで貧乏な俺とは縁程遠いと思っていた。だいたい容姿に自信がないヤツが出場すれば、ただの自信過剰の勘違い野郎だと学内の笑い者になるだろう。それは勿論、俺のような者のことで……。
「えー、楽しそうじゃん。本当は一緒に模擬店やりたかったけど、誘ったら絶対に颯斗のことだから断っただろ?」
男にしては大きな瞳を持つ愛らしい顔立ちの心織が唇を尖らせながら話す。
「――心織、よく分かっているのに何故……何故、いつもこうして次から次へと問題ごとを毎回持ち込むんだよ。最近、何かの始まりはいつも心織がきっかけのような気がしているのは俺だけかな?!」
「まぁまぁ、とりあえず座ってよ。皆見てるしさ」
苦笑しながら心織は、両手の平を下に向けながらジェスチャーで俺に座るよう表す。
「そうですね、高遠君。今から悪いイメージが付いてしまってはミスターキャンパスで優勝できませんよ」
何処からともなく現れたのは、俺たちと同じ大学の4年生でつい最近までテニスサークルの代表を務めていた紫澤玲凰だった。
紫澤は日本5大商社の内の1つ紫澤物産の御曹司で、この大学一有名人の気品溢れる正統派黒髪王子様だ。しかも180cm以上の高身長でイケメン。モデルでもおかしくないようなモテ男なのだが、何故だかことある事に男である俺を「好きだ」と言って憚らないのだ。
変わり者といえばもう一人、紫澤より更に輪をかけたようなヤツがいるがその男の説明はまた後ほど……。
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